1-3. ゲノムと遺伝子
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1) 遺伝子
遺伝子の範囲は一般には転写されたRNAの範囲を指すが、原核生物では一本のRNAが複数のタンパク質遺伝子を含む場合も多い
タンパク質などの機能を発揮する遺伝子産物を指定するコード領域 2) ゲノム
染色体に含まれる全遺伝子の1セット分を含むDNA全体 本書でも細菌のゲノムを染色体と表現する
原生生物や菌類など、進化的に下位の生物のなかには一倍体で増えることのできるものもある 3) ゲノムサイズと遺伝子数
原核生物と真核生物では、ゲノムの大きさと遺伝子の数には大きな違いがある
真核生物の遺伝子数は原核生物の数倍〜十倍程度
table: 表1-2 主な生物のゲノムサイズと遺伝子数
生物種 ゲノムサイズ(×10⁶塩基対) 遺伝子数(概数)
Column 生物に必要な最小の遺伝子数は?
遺伝子には重複しているものも多々あり、遺伝子数から進化度を考察することは意味がない
動物の遺伝子の数はおよそ1.5万~2.5万個の範囲に入る ヒトは2.25万個で必ずしも最大の遺伝子数を持つ動物ではない
植物は一般に遺伝子数が非常に多い(2.5万~3.0万個以上) 多細胞生物に対して単細胞生物は相対的に遺伝子数が少なく、出芽酵母や大腸菌の例で見られるように、4,000個~7,000個の範囲に入るものが主 個別に見ると遺伝子数が1,000個程度のものや1万個を超えるものも存在し、非常に多様であるが、少なくとも、単細胞生物から多細胞生物に進化したときに遺伝子数が大きく増えたことは十分考えられる
一方、細菌のなかには遺伝子数が1,000個を切るものも存在し、マイコプラズマ科の細菌の中には500個前後の遺伝子数しか持たないものも存在する おそらくこの数が、生物が自立して生存するために必要な最小の遺伝子数なのであろう